副業でも青色申告は利用できる?青色申告のメリットデメリットを解説

最終更新日:2023年2月22日



こんにちは、副業アカデミーです。

 

会社員の場合は源泉徴収という仕組みで会社が給与から所得税を天引きして納付してくれますが、副業収入については自分で確定申告書を作成し納税する必要があることはご存知の方も多いかと思います。

実は、確定申告には白色申告と青色申告の2種類があります。

副業では白色申告が一般的ではありますが、青色申告とは何か、どういう状況だと選択できるのかを見ていきましょう。

青色申告とは

青色申告とは

青色申告は確定申告の2種類のうちの1つです(もう1つは白色申告です)。

昭和24年に、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)から要請を受けたシャウプ博士が来日して勧告を取りまとめ、きちんと帳簿をつける申告者とざっくりと記帳する申告者を区別するため、色分けが導入されました。

きちんと派のいわばイメージカラーが青です。

 

青色申告については、特別控除という制度があり、税金計算の対象となる所得金額から差し引くことで、税金を少なくする優遇措置を受けることができます。

特別控除は白色申告では利用できません。

ただし、青色申告制度を利用するには、事前に税務署に届け出ることと、単式簿記もしくは複式簿記で記帳した決算書を作成する必要があります(帳簿のレベルにより特別控除の金額も変わります)。

帳簿づけの煩雑さを敬遠して、白色申告のままにしている納税者も相当数いますが、安価で直感的に使用できる便利な会計ソフトが普及してきていることと、平成26年からは、白色申告であっても簡易で良いとはいえ帳簿づけが義務化されたため、青色申告を選択する納税者も増えてきています。

 

では、副業をしているなら、誰でも節税メリットのある青色申告を選択すべきなのかというと、そうではありません。

青色申告は「所得」の種類によって利用可能かどうかが決まります。

残念ながら、どんな副業でも利用できる訳ではないのです。

どんな副業なら利用できるかは、後ほどご説明します。

 

青色申告を利用するにはいくらから?

青色申告か白色申告かの議論の前に、収入が少額の場合、確定申告は不要です。

税金の計算では収入と所得は異なる概念なのですが、副業による「収入」から、必要経費(仕入代金、交通費など)を差し引いた「所得」が年間20万円を超えた場合に確定申告が必要となります。

確定申告が必要になりそうな場合は、経費の領収証やレシートは保管するようにしましょう。

 

では、青色申告を選択すべき所得の金額基準はあるのでしょうか?

節税を考えるほど多額の利益を得ている事業主が青色申告を検討すべきと思われたかもしれません。

しかし、赤字の繰り越しを可能とする青色申告の仕組みは、むしろ起業したばかりの事業主の方が恩恵を享受しうる制度なのです。

(赤字の繰り越し制度はメリットとして後述します。)

また、節税効果は所得税のみでなく住民税にも及びます。

 

青色申告の対象になる副業、ならない副業は?

確定申告では所得を種類ごとに計算します。

全部で10種類あり、事業所得、不動産所得、山林所得の3種類は青色申告の対象となりますが、給与所得、退職所得、譲渡所得、利子所得、配当所得、一時所得、雑所得の7種類は青色申告の対象になりません。

副業アカデミーでご紹介している副業と所得の種類をあてはめてみると、株式投資は配当所得および譲渡所得(株式売却)、不動産投資は不動産所得(賃貸収益)および譲渡所得(不動産売却)、物販やライティングなどは事業所得もしくは雑所得となります。

副業の内容とは別に、副業先と雇用契約を結ぶ働き方を選んだ場合は、給与所得となります。

その他、退職所得はいわゆる退職金収入、一時所得は宝くじの賞金や保険金を受け取ったときの所得です。

自分の副業が青色申告の対象になるのかどうか確認してから確定申告の手続きを進めましょう。

副業で青色申告をするメリット・デメリット

青色申告をするメリットは、何といっても白色申告に比べると節税効果が高いことです。

ただし、そのメリットを得るためには、帳簿づけの手間がかかることがデメリットです。

以下で、具体的にご説明します。

 

青色申告をするメリット

青色申告の主なメリットは3つあります。

 

一番大きなメリットは、青色申告特別控除です。

税金は収入から経費を差し引いて、所得を算出し、所得に税率を乗じて計算します。

特別控除は所得の金額を減らす制度なので、節税効果があるのです。

簡略的な計算例ですが、控除額が10万円で税率が20%だったとすると、税金が2万円安くなる効果があります。

特別控除額は、帳簿のレベルにより、単式簿記なら10万円、複式簿記なら55万円、さらにe-Taxという電子申告を行うなら65万円です。

(単式簿記と複式簿記の違いはデメリットでご説明します。)

 

2つ目は、赤字(純損失)を3年にわたって繰越すことができます。

白色申告では繰り越しできる損失が限られていますが、青色申告では全額です。

例えば、開業1年目で100万円の赤字、2年目でトントン、3年目で100万円の黒字だった場合、3年目は税金が発生するはずですが、1年目の赤字を繰り越すことで3年目の黒字金額が減額されるのです。

 

3つ目は、少額減価償却資産の特例です。

必要経費になる仕事用のパソコンを購入した場合、購入した年度に一括して経費に計上する訳ではなく、税法で定められた年数にわたって費用処理(減価償却)します。

しかし、青色申告では30万円未満であれば、購入した年に一括して費用にできますので、所得額の調整として利用することができます。

例えば20万円のパソコンを購入した場合、本来であれば初年度の減価償却費は耐用年数の4年で割った5万円ですが、特例では20万円を経費として一括計上できます。

 

青色申告のデメリット

青色申告の最大のハードルは複式簿記です。

10万円の控除であれば、単式簿記でも良いのですが、せっかく青色申告をするなら65万円の控除を受けたいものですよね。

単式簿記は取引の一面だけを示すお小遣い帳のような記帳方法です。

例えば、出張で新幹線代2万円を支出した場合、単式簿記では交通費2万円と記帳します。

複式簿記は、現金の減少も合わせて示しますので、(借方)交通費2万円(貸方)現金2万円と記帳します。

 

また、白色申告では確定申告書で提出する決算書(収支内訳書)は2ページですが、青色申告の決算書は4ページと資料数が多くなっています。

昨今では会計ソフトを使えば複式簿記での記帳や決算書の作成も比較的簡単にできますので、青色申告のハードルは低くなってきています。

 

その他、青色申告は、事前に所管の税務署へ承認申請書を提出する必要があります。

デメリットというほどの負荷でもありませんが、白色申告にはない手続です。

副業で青色申告を開始する際の注意点

さて、青色申告にはメリットもデメリットもあることが分かりました。

帳簿付けは多少の手間がかかるものの、やはり節税効果を享受したいと思う方もいらっしゃるでしょう。

では、開始する際の注意点を確認しましょう。

 

期日までに青色申告承認申請書を提出しないといけない

期日までに青色申告承認申請書を提出しないといけない

青色申告は、事前に承認申請書を提出する必要があります。

申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始または不動産の賃貸を開始した場合には、その事業開始の日から2カ月以内)が提出期限です。

申請は青色申告開始時に一度だけ実施すれば足り、毎年提出する必要はありません。

いったん青色申告が認められると、青色申告の取りやめ届出書を提出しない限り青色申告継続とみなされます。

申請書は国税庁のホームページからダウンロードすることができ、税務署へ持参もしくは郵送で提出します。

 

青色申告ができない副業も多い

青色申告の対象となる所得は、事業所得、不動産所得、山林所得の3種類です。

配当所得や譲渡所得(株式売買)に区分される株式投資は対象となりません。

不動産投資の場合も、不動産売買による利益は譲渡所得になりますので対象外です。

賃料収入は不動産所得ですが、社会通念上事業と称することのできる程度の規模でないと青色申告は認められません。

事業規模の基準は、アパート等については貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること、または、独立家屋の賃貸については、おおむね5棟以上であることとされています。

 

その他の副業、物販やライティングなどは、事業所得と認められれば青色申告の対象となりますが、お小遣い稼ぎ程度の場合は雑所得となり、青色申告の対象になりません。

事業所得と雑所得の違いについては、明確な基準は定められていません。過去の裁判の事例に基づくと、事業とは、

  • 自分でリスクをとって独立して行っていること
  • 営利目的であること
  • 反復継続していること
  • 客観的に確認できること

と解されています。

副業といっても、片手間ではなく一定レベルの収入がないと認められません。

事業所得として認められるかどうかは税務署に相談してみると良いでしょう。

まとめ

副業で所得が年20万円を超えたら、確定申告が必要です。

さらに、副業のレベルが事業規模まで大きくなりそうであれば、青色申告を選択して節税効果を享受することも可能です。

青色申告を開始する場合は申請書の提出もお忘れなく。

 

それでは、また。

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