副業禁止社員の嘆き

最終更新日:2021年12月24日

残業抑制による弊害。活路はあるのか?

昨今、副業解禁や残業抑制、人生100年時代と言ったバズワードが独り歩きし、メディアはこぞって “副業で成功した人” ばかりにスポットを当てているように感じられます。確かに1つのサクセスストーリーの読み物としては面白いですが、現実味は薄く感じられます。

2019年3月、日本経済新聞社が東証1部上場などの大手企業にアンケートを実施したところ、回答を得た120社のうち、約5割の企業が「副業を認め制度化している」「制度はないが副業を認めている」と、副業を解禁・容認していることが明らかになっていますが、半数の企業はまだ “禁止” の状態です。

こうした背景を受け、今回は都内 IT系ベンチャー企業に本業として勤める山田さん(仮名) 28歳に話を伺いました。

インサイドセールスを担当しつつ1〜2年以内に結婚を考える彼の会社は、現在副業禁止のようです。

筆者 今日はよろしくお願いします。

山田 こちらこそ、よろしくおねがいします。

筆者 まずは簡単に自己紹介をお願いできますか?

山田 はい。山田と申します。本業は ITベンチャーでインサイドセールスを担当しています。今年28歳で1〜2年以内には今の彼女と結婚を考えています。これまでは家電量販店でSIMフリースマホの販売担当。アフィリエイト会社でライターをやっていました。

筆者 副業をやってみたいと思いますか?(副業解禁を希望しますか?)

山田 はい。

筆者 副業を行うならどんな副業をやってみたいですか?

山田 経歴を活かしてライティング・アフィリエイトをやってみたいです。WEBデザイン関係も興味があります。

筆者 副業にどういったイメージを持っていますか?

山田 昔は胡散臭い部分もありましたが、近年ランサーズなどのクラウドソーシングを活用すれば副業をしやすい環境になってきてクリーンに稼ぐ手段が広がったという意味で良いイメージに変わりました。自分のモチベーションアップにもつながると思います。 ただ一方で会社にバレないようにこっそりやらなければいけないので手間がかかるとも思います。

筆者 働き方改革で良くなった点、悪くなった点を教えてください(働き方改革後、業務改善、業務量調整は実施されましたか?)

山田 正直働き方改革を実感出来ていないです。 残業代も基準内で収まっていたので特に良くも悪くもなっていません。一部残業が多かった社員は残業代が5万ぐらい減ったと言っていました。 彼は諸々の事情も重なって退職してしまいましたね。業務量の調整や最適化をせず業務が終了していないのに帰宅を促したりする上司がいたので何も考えずに残業時間を調整させているんだなと感じました。

筆者 働き方改革は必要ですか? 不要ですか?また理由を教えてください。

山田 私自身は不要だと思っています。そもそも根本の課題として、時間内の作業完結をせず単に早く帰 宅させるだけとなってしまいますし、中には仕事が好きで長時間働きたいと考えるニーズもあるはずです。知的労働には終わりがないと思いますが、働き方改革によって”働いてはいけない“などの誤ったイメー ジがついてしまった気がします。

筆者 終身雇用が崩壊したと叫ばれていますが、定年後のために準備していることはありますか?

山田 アフィリエイトやライティングなどのスキルを今のうちに身につける必要があると感じてます。本業に何かしらトラブルがあったり定年後在宅で働けるようにするために自分で稼げる仕組みが必要だと思います。

筆者 老後2000万円問題についてどう思いますか?

山田 ただの貯金だと2000万は厳しいのではと思います。貯金以外にも不労所得や在宅でも出来る仕事、国からの補助など老後に向けてどうにかする方法や知識を貯金以外に持たないと厳しいと思います。

筆者 転職をする可能性はありますか?またその理由は?

山田 はい。年内で転職活動をして年明けには入社できるようにしたいです。現職はベンチャーということもありますが、業績や成績によって給与が前後するので安定性にかけます。雇用保険がついているだけのフリーランスみたいな会社ですから。

筆者 仮に現職で副業が解禁された場合、残留しますか?

山田 う〜ん。難しいところですね。数値の責任がある業務なので休みの日を返上して成績を出す努力をする必要があります。 それは残業を抑制されたことで起こった弊害ですね。ですから、副業に充てられる時間が取れるかと言われると難しいです。 やはり残留は考えられません。

筆者 ありがとうございました。

企業が副業解禁に関して感じる課題や懸念として多いのは「社員の労務管理」「副業中の労災や不祥事などのリスク」「労働不可の増大 やモチベーション低下」「自社と利益相反になる可能性」(日本経済新聞社による同調査)などが上位を占めますが、働き方改革にも含まれる残業時間についての罰則つき上限規制や、副業禁止といった就業規則は雇用者の生活を圧迫し兼ねないという問題もまだまだ拭い去れない状況です。

国として企業として、今後も取り組んでいく必要があるでしょう。

(中村大介)

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