副業を解禁するその前に!就業規則と副業の規定について確認しよう
最終更新日:2022年5月26日
こんにちは。
副業アカデミーです。
新型コロナウイルスの影響により従来の働き方が出来ず、収入の不安定さがニュースなどで取り上げられるようになってきた昨今、副業を解禁する企業が増えてきました。
ですが副業解禁にあたって就業規則にどのような見直しが必要なのでしょうか。
今回は「副業解禁の際に就業規則の見直しはどうするの?」という内容について解説していきます。
副業解禁を検討している企業の総務人事担当者や経営者の皆さんのお役に立つことができれば幸いです。
原則として副業禁止に法的根拠はない
企業によっては副業を禁止しているケースもありますが、そもそも法的に根拠があるものなのでしょうか?
労働法の原則では
「就業時間外(プライベートの時間)に行われるものである限り、副業は自由」
となっています。
厚生労働省のモデル就業規則の例では、労働時間以外の時間は社員が自由に活用できるという前提のもと、
副業は社員の「権利」として規定されています。
つまり雇用契約の範囲内(就業時間内は副業をしてはいけない等)で副業を禁止することはできますが、勤務時間外まで副業を禁止することはできないのです。
ですが、過去の判例で
- 本業に著しく影響が出る副業(長時間労働・運転業務前の休養要請中の労働など)
- 企業秘密が漏えいするなど経営秩序を乱す事態が生じる副業
- 在職中の競業避止義務に違反する副業
などの場合によっては、副業の禁止や解雇などを命じた事由が有効であると判断された例もあります。
ただし、先述したように厚生労働省のモデル就業規則から副業禁止規定が削除されるなど、政府も副業を推進する方向に進んでいるため、
「どのように禁止するのか」ではなく「副業を解禁したうえでどのような規定を設けるのか」を検討していくことが、今の企業に求められていることだと言えるでしょう。
副業は「許可制」から「届け出制」に進んでいる
これまでは副業を行うに当たり、許可制(原則副業は禁止だが、企業が副業を承認すれば取り組むことができる)を採用している企業が多数でしたが、昨今では届け出制(原則副業が認められているが、取り組む副業によって企業側に届け出が必要になる)に変わりつつあります。
届け出制の企業で副業に取り組む場合、企業に届け出の提出が必要なものと必要でないものがあります。
一例にはなりますが下記のような分類もあります。
「届出が必要」
- 外部での勉強会やセミナーの講師、出版物などの執筆
- 他社との雇用契約
- 他社の役員への就任(親族経営の役員や名義貸しも含む)
- 個人事業主としての契約(WEB・デザイン・HP制作や家庭教師など)
「届出が必要ではないもの」
- 株式投資、投資信託、FXなどによる資産運用
- 不動産による収入
- フリーマーケットへの出店、フリマアプリやネットオークションの出品
- ボランティア活動
また、取り組む副業によっては企業の名誉や信頼を失墜させる恐れがあることから下記副業を禁止するケースも規定で考えておきたい所です。
「禁止される副業」
- 同業他社での勤務や業務
- 自社の機密情報に関する配信行為(収益の有無に関わらず)
- ホスト、ホステスとしての勤務
こうした基準の詳細は企業毎に定める規則によって異なりますし、また社員が副業に取り組むことによるリスクも、企業によって異なります。
そのため、企業側は副業の届け出制を整えるにあたって、厚生労働省が提供している「モデル就業規則」をしっかりと確認することをお勧めします。
モデル就業規則を参考にし、副業解禁に向けて自社の経営理念や方針や考えを基に就業規則の見直しを行いましょう。
副業の規定について書かないとトラブルの元に
厚生労働省のモデル就業規則も刷新され副業解禁をしていく企業が増えていく中、就業規則を更新しておらず副業の取り扱いが古いままだと、社員の副業に対する取扱いが正しく行えない可能性があります。
そうした企業と社員の意思疎通が上手くいかないと、貴重な人材が自社を去ってしまうなどの好ましくない結果を招いてしまうかもしれません。
よって、副業に関する規定はしっかりとまとめておきたい所です。
また、副業解禁はデメリットだけではなく、企業側にとってもメリットがあります。
「副業をする社員のメリット」
- 収入がアップする
- 経験やスキルや新たな人材を獲得し、本業に活かせる可能性がある
「副業を解禁する企業のメリット」
- 社員のスキルアップや能力の向上
- 人材の流出が減る
- 副業希望の人材を新たに確保できる可能性が高まる
さらに、副業を解禁している企業は、中途採用の内定者が「質・量ともに満足」の割合が高いというデータもあります。
参照:マイナビニュース(https://news.mynavi.jp/article/20201023-1431749/)
副業解禁でトラブルにならないためにも就業規則を更新し、副業の規定を定めることは社員にも企業にも重要なポイントとなります。
お互いの利害を損なわないようにしっかりとまとめるようにしましょう。
まとめ
今回は副業の規定について詳しく解説してきました。
労働法の原則で副業は自由であり、企業への「届け出制」に変わりつつあります。
企業の名誉や信頼を損ねるといったトラブルにならないよう自社の経営理念や方針や考えを明記し、様々なケースを想定した規定を更新しましょう。
就業規則の更新の際は、厚生労働省のモデル就業規則を上手く活用するのがお勧めです。
詳細はこちらからご確認くださいね。
それでは、また。