2021.08.25
投資は副業にあたる?会社員の初心者向けに、NISAから始める投資の選び方と注意点を解説
「副業が禁止されている会社でも、投資なら大丈夫?」「投資を始めたいけれど、何から手をつければいいかわからない」。副業アカデミーにも、会社員の方からよく寄せられる相談です。
この記事では、投資が副業にあたるのかどうかを最初に整理したうえで、初心者の会社員が投資を始めるときに知っておきたい制度(NISA・iDeCo)、投資の種類ごとの特徴とリスク、税金の基本を解説します。
この記事の要点
株式や投資信託などの資産運用は、多くの会社で副業として扱われません。ただし扱いは会社ごとに違うため、必ず就業規則を確認してください。
公務員も、株式や投資信託への投資は原則として兼業の制限の対象外です。不動産の賃貸は、規模が大きくなると承認が必要になります。
初心者の会社員は、利益が非課税になるNISA(年間最大360万円、生涯1,800万円まで)の仕組みを知っておくと、制度を活かした始め方を考えやすくなります。
投資には元本割れのリスクがあり、利益は保証されません。生活費ではなく余裕資金で、仕組みを理解してから少額で始めることが大切です。
投資は副業にあたる?会社員と公務員の扱い
結論からいうと、株式や投資信託などの資産運用は、多くの会社で副業として扱われていません。副業の制限は主に「勤務時間外に別の仕事をして、本業に支障が出ること」を防ぐためのものです。自分のお金を運用する投資は、労働を提供する副業とは性質が違うと考えられています。
ただし、どこまでを副業とみなすかは会社が就業規則で決めます。投資を始める前に、次の点を確認しておきましょう。
就業規則で、投資や株式の売買について特別な決まりがないか
自社株や取引先の株の売買に、社内ルール(事前申請や売買の禁止期間など)がないか
公務員の場合
公務員は法律で兼業が制限されていますが、株式や投資信託への投資は、原則としてその制限の対象外とされています。
一方、不動産の賃貸は、規模によって「自営」として扱われ、承認が必要になります。国家公務員の場合、人事院の運用で、独立した家屋の賃貸が5棟以上、アパートなどの部屋が10室以上、賃貸料収入が年額1,000万円以上などに当たると、承認が必要とされています(賃貸料収入の基準は、2026年4月に年額500万円から1,000万円に引き上げられました)。地方公務員は自治体ごとに運用が異なるため、所属先の人事担当に確認してください。
会社員の就業規則と投資の関係や、会社に知られたくない場合の考え方は「投資は副業じゃない?ってホントなの?」で詳しく解説しています。
会社員が投資を始める前に確認したい3つのこと
1. インサイダー取引にならないか
仕事で知った、まだ公表されていない会社の重要な情報をもとに株を売買すると、インサイダー取引として法律で罰せられるおそれがあります。自社や取引先の株を売買するときは特に注意してください。証券会社や金融機関、監査法人、報道機関などでは、社員の株式売買を禁止・制限している場合もあります。
2. 本業に支障が出ないか
投資が副業にあたらなくても、勤務時間中に売買をしたり、夜通し値動きを追って翌日の仕事に影響が出たりすれば、就業規則違反として処分の対象になる可能性があります。会社のパソコンやネットワークを使った取引も避けましょう。
国内株式の取引時間は、東京証券取引所の場合、平日の9時〜11時30分と12時30分〜15時30分です。会社員は日中に値動きを見続けるのが難しいため、こまめな売買が必要ない方法のほうが続けやすいでしょう。
3. 生活費と分けた「余裕資金」で始められるか
投資は、元本(投資したお金)が減ることもあります。生活費や近いうちに使う予定のお金を投資に回すと、値下がりしたときに損を承知で売らなければならなくなります。
一般的には、病気や失業などに備えた生活費の数か月分を預貯金で確保したうえで、しばらく使う予定のないお金で投資をするのが基本とされています。
初心者の会社員がまず知っておきたい制度:NISA
NISA(少額投資非課税制度)は、投資で得た利益に税金がかからなくなる国の制度です。通常、株式や投資信託の利益には20.315%の税金がかかりますが、NISA口座で買った商品の利益は非課税になります。
2024年から始まった今のNISAは、次のような仕組みです(18歳以上が対象)。
つみたて投資枠
成長投資枠
年間の投資上限
120万円
240万円
生涯の非課税保有限度額
合計1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)
買える商品
長期の積立・分散に向くとして国が定めた基準を満たす投資信託など
上場株式・投資信託など(一部対象外あり)
非課税になる期間
無期限
2つの枠は併用でき、年間で最大360万円まで投資できます。また、NISA口座で買った商品を売ると、その分の枠は翌年以降に再び使えるようになります。
なお、2027年からは、18歳未満も「つみたて投資枠」を利用できるようになることが決まっています(いわゆる「こどもNISA」。年間60万円・総額600万円まで)。
NISAは利益が非課税になる一方で、損失が出ても、ほかの口座の利益と相殺(損益通算)することはできません。非課税になるのは「利益が出た場合」のメリットであって、値下がりのリスクがなくなるわけではない点に注意してください。
老後資金ならiDeCoという選択肢も
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で掛金を出して運用し、老後に受け取る年金制度です。掛金が全額所得控除になるため、所得税・住民税が軽くなるのが特徴です。一方で、原則として60歳まで引き出せません。
iDeCoは制度の見直しが進んでおり、企業年金がない会社員の掛金の上限が月2.3万円から月6.2万円に引き上げられるなどの改正が、2026年12月分の掛金(2027年1月の引き落とし)から適用される予定です。加入できる年齢も、70歳未満まで広がります。いつでも引き出せるNISAと、老後まで引き出せない代わりに節税効果があるiDeCo。目的に合わせて使い分けを考えましょう。
投資の種類と特徴:初心者が知っておきたい違い
投資にはさまざまな種類があり、必要な資金、値動きの大きさ、かかる手間、税金の扱いが大きく違います。代表的なものを比べてみましょう。
種類
特徴
主なリスク
NISA
投資信託
少額から積み立てられ、1本で多くの株や債券に分散できる
値下がり、運用の手数料(信託報酬)
対象
株式
値上がり益・配当・株主優待がある。銘柄選びが必要
株価の下落、企業の倒産
成長投資枠の対象
不動産
家賃収入が得られる。ローンを使うことが多く、まとまった資金が必要
空室、家賃の下落、金利の上昇、売りたいときに売れない
対象外
FX
通貨の売買。レバレッジ(個人は最大25倍)で、預けたお金より大きな額を取引できる
損失も大きくなる。急な値動きで預けたお金以上の損失が出ることもある
対象外
暗号資産(仮想通貨)
少額から24時間取引できる
値動きが非常に大きい。取引所の破綻や不正流出、詐欺
対象外
投資信託:少額で分散しやすい
投資信託は、多くの投資家から集めたお金を、運用会社がまとめて株や債券などに投資する商品です。1本買うだけで多くの銘柄に分散でき、毎月数千円程度から積み立てられるものもあります。
運用の手数料(信託報酬)が保有している間ずっとかかるため、同じような内容の商品なら手数料の低いものを選ぶことが大切です。運用会社が運用しても、元本は保証されません。
株式:企業を選んで投資する
株式投資で得られる利益には、値上がりした株を売って得る売却益、保有中に受け取る配当金、企業によっては株主優待があります。自分で企業を選ぶ必要があるため、決算書の見方や業績の判断など、ある程度の知識が必要です。
2023年10月以降、ネット証券の一部では国内株式の売買手数料を無料にする動きが広がり、少額から始めやすくなっています。必要な資金の目安は「株式投資を始めるにはいくら用意すればいい?」で解説しています。
不動産:まとまった資金と知識が必要
不動産投資は、物件を貸して家賃収入を得る方法です。会社員は収入が安定しているため、ローンを組みやすい面があります。一方で、空室や家賃の下落、修繕費、金利の上昇などのリスクがあり、ローンの返済は家賃が入らなくても続きます。
物件の良し悪しを見極める知識と、厳しめの条件で立てた収支計画が欠かせません。「節税になる」「年金代わりになる」といった勧誘だけで判断せず、複数の専門家の意見を聞いてから検討しましょう。
FX:少額で大きな取引ができる分、損失も大きい
FX(外国為替証拠金取引)は、ドルや円などの通貨を売買して、為替レートの差で利益を狙う取引です。預けたお金(証拠金)の最大25倍まで取引できるため、少ない資金で大きな利益が出ることがある一方、同じだけ損失も大きくなります。
平日はほぼ24時間取引できるため、夜遅くまで値動きを追ってしまい、本業に影響が出ることもあります。初心者のうちはレバレッジを低く抑え、損失を限定するルールを決めておくことが大切です。
暗号資産(仮想通貨):値動きが非常に大きい
暗号資産は、ビットコインなど、インターネット上でやり取りされる電子的な資産です。国や中央銀行が価値を保証しているわけではなく、短期間で価格が大きく上下します。
取引する場合は、金融庁・財務局に登録された暗号資産交換業者を使ってください。登録のない業者や、SNSで知り合った人からの勧誘は、詐欺の可能性があります。
投資の利益にかかる税金
投資の利益にかかる税金は、種類によって仕組みが違います。
株式・投資信託:利益に20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)がかかります。証券会社の「特定口座(源泉徴収あり)」を選ぶと、税金が自動で差し引かれ、原則として確定申告は不要です。NISA口座の利益は非課税です。
FX:国内のFX会社での利益は「申告分離課税」で、税率は20.315%です。利益が出たら、原則として確定申告が必要です。
暗号資産:現在は原則として「雑所得」で、給与などと合算して税率が決まる「総合課税」です。所得税と住民税を合わせて最大約55%になります。株式と同じ20%の申告分離課税に変える法律の改正が決まっていますが、適用は早くて2028年からと見込まれています。
不動産:家賃収入から経費を引いた「不動産所得」として、確定申告が必要です。
会社員の場合、給与以外の所得が年20万円以下なら所得税の確定申告が不要になる「20万円ルール」がありますが、住民税の申告は別に必要です。詳しくは「副業の20万円ルールとは?」を、確定申告の手順は「副業の確定申告のやり方」をご覧ください。
初心者が投資で失敗しないために
「長期・積立・分散」を基本にする
一度にまとめて買うのではなく、毎月決まった額を積み立てると、買うタイミングを分散できます。また、1つの銘柄や地域に集中させず、複数に分散することで、特定の値下がりの影響を小さくできます。こうした方法でもリスクがなくなるわけではありませんが、初心者が大きな失敗を避けるための基本的な考え方です。
手数料とコストを確認する
売買手数料や投資信託の信託報酬、不動産の諸費用など、投資にはさまざまなコストがかかります。利益が出ても、コストで差し引かれる分があることを忘れないようにしましょう。
「必ず儲かる」という誘いには乗らない
SNSやマッチングアプリなどで知り合った人から投資に誘われ、お金をだまし取られる被害が増えています。金融庁や警察も繰り返し注意を呼びかけています。「元本保証で高利回り」「必ず儲かる」「今だけ」といった話は、まず疑ってください。投資の勧誘を受けたときは、相手が金融庁に登録された業者かどうかを、金融庁のWebサイトで確認しましょう。
仕組みを理解してから始める
よくわからないまま始めると、値下がりしたときに慌てて売ってしまうなど、判断を誤りやすくなります。投資する商品がどんな仕組みで、どんなときに損をするのかを説明できる状態になってから始めるのが理想です。
よくある質問
Q. 投資は副業になりますか?
A. 株式や投資信託などの資産運用は、多くの会社で副業として扱われていません。ただし、どこまでを副業とみなすかは会社が就業規則で決めるため、必ず自分の会社の規則を確認してください。
Q. 公務員でも投資はできますか?
A. 株式や投資信託への投資は、公務員でも原則として兼業の制限の対象外です。不動産の賃貸は、国家公務員の場合、5棟以上・10室以上・賃貸料収入が年額1,000万円以上などの規模になると承認が必要です。地方公務員は所属先の人事担当に確認してください。
Q. 会社員が投資を始めるなら、何から調べればいいですか?
A. まずは、利益が非課税になるNISAの仕組みを知っておくのがおすすめです。そのうえで、投資信託・株式など、どの商品にどんなリスクがあるかを比べ、生活費とは別の余裕資金の範囲で、少額から始めることを考えましょう。
Q. NISAではいくらまで非課税で投資できますか?
A. 18歳以上の場合、年間の投資上限はつみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円の合計360万円です。生涯で非課税で保有できるのは合計1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)で、非課税の期間は無期限です。
Q. 投資の利益に確定申告は必要ですか?
A. 株式や投資信託を「特定口座(源泉徴収あり)」で取引していれば、原則として不要です。FX・暗号資産・不動産の利益は、原則として確定申告が必要です。会社員で給与以外の所得が年20万円以下なら所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は別に必要です。
Q. 投資で損をすることはありますか?
A. あります。投資信託や株式は値下がりすることがあり、元本は保証されません。FXなどレバレッジを使う取引では、預けたお金以上の損失が出ることもあります。投資は生活費ではなく、余裕資金で行うことが大切です。
Q. FXや暗号資産は初心者に向いていますか?
A. 値動きが大きく、短期間で大きな損失が出ることもあるため、仕組みとリスクを十分に理解してから検討してください。FXは個人の場合レバレッジが最大25倍で、損失も同じように大きくなります。暗号資産は、金融庁・財務局に登録された交換業者を使うことが前提です。
Q. 勤務時間中に株の取引をしてもいいですか?
A. 避けてください。投資が副業にあたらなくても、勤務時間中の取引や会社のパソコンを使った取引は、就業規則違反として処分の対象になる可能性があります。また、仕事で知った未公表の情報をもとに売買すると、インサイダー取引になるおそれがあります。
Q. 「必ず儲かる」という投資の誘いは信じてもいいですか?
A. 信じないでください。投資に「必ず儲かる」ものはありません。SNSなどで知り合った人からの投資の誘いによる詐欺の被害が多く、金融庁や警察が注意を呼びかけています。勧誘を受けたら、相手が金融庁に登録された業者かを必ず確認してください。
※この記事は、執筆時点の制度をもとに一般的な内容を解説したものであり、特定の金融商品の購入や売買をおすすめするものではありません。投資には元本割れなどのリスクがあり、利益は保証されません。投資の判断はご自身の責任で行ってください。税金や制度の詳細は、金融庁・国税庁のWebサイト、税務署、税理士などの専門家にご確認ください。
まとめ
株式や投資信託などの資産運用は、多くの会社で副業として扱われず、公務員も原則として取り組めます。ただし、扱いは会社ごとに違うため、始める前に就業規則を確認してください。
初心者の会社員は、NISAの仕組みを知ったうえで、生活費とは別の余裕資金で、少額から始めることが基本です。投資には元本割れのリスクがあり、FXや暗号資産など値動きの大きいものほど、仕組みを理解しておく必要があります。
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