2023.09.16
副業用の銀行口座は分けるべき?メリット・デメリットと、ネット銀行を選ぶときのポイント・屋号口座の作り方
「副業の報酬が入る口座は、普段使っている口座と分けたほうがいい?」「屋号付きの口座はどうやって作るの?」。副業アカデミーにも、副業を始めたばかりの方からよく寄せられる相談です。
この記事では、副業用の銀行口座を分けるメリット・デメリット、個人名義の口座と屋号付き口座の違い、ネット銀行を選ぶときのチェックポイント、口座開設に必要な書類を解説します。
この記事の要点
副業用の口座を分ける義務はありませんが、分けておくと入出金の記録がまとまり、確定申告の帳簿づけがぐっと楽になります。
副業の規模が小さいうちは、個人名義の口座で十分です。屋号付きの口座は、開業届を出して事業として続ける段階になってから検討しましょう。
ネット銀行を選ぶときは、振込手数料の無料回数の条件、報酬を受け取るときの手数料、会計ソフトとの連携などを比べます。手数料や優遇条件はよく変わるため、必ず公式サイトで最新の内容を確認してください。
口座を分けても、会社に副業が知られるかどうかには関係しません。口座を他人に貸したり売ったりすることは犯罪です。
副業用の銀行口座は分けるべき?
結論からいうと、副業用の口座を分ける法律上の義務はありませんが、分けておくのがおすすめです。
副業をしていると、報酬の入金、パソコンや書籍などの経費の支払い、ツールの利用料など、お金の出入りが増えていきます。これがプライベートの入出金と同じ口座に混ざると、あとで「どれが副業のお金か」を1件ずつ見分ける手間がかかります。
副業のお金を1つの口座にまとめておけば、通帳や入出金明細を見るだけで、副業の収入と支出を把握できます。
副業用の口座を分けるメリット
1. 確定申告の帳簿づけが楽になる
会社員で、給与以外の所得(副業の収入から経費を引いた金額)が年間20万円を超える場合は、原則として確定申告が必要です。申告では、1年分の収入と経費をまとめる必要があります。
副業専用の口座があれば、その明細をもとに収入と経費を集計できるので、集計の手間と計算ミスを減らせます。20万円以下で確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は必要なので、記録を残しておくことに変わりはありません。
2. 副業の収支がひと目でわかる
副業の口座の残高が増えているか減っているかを見るだけで、副業がどれくらい利益を出しているかがわかります。経費をかけすぎていないかにも気づきやすくなります。
3. 屋号付きの口座なら、事業の名前で取引できる
開業届を出して屋号(事業の名前)を決めている場合は、屋号付きの口座を作れることがあります。取引先に報酬の振込先を伝えるときに、事業の名前で示せるのがメリットです。
副業用の口座を分けるデメリット・注意点
口座の管理が1つ増える
口座が増えると、残高やキャッシュカード、ログイン情報の管理も増えます。使わなくなった口座を放置すると、銀行によっては未利用口座の手数料がかかることもあります。
口座間でお金を移すときに手数料がかかることがある
副業の報酬を生活費に使いたいときや、経費を支払うときに、口座間でお金を移す必要があります。他行への振込には手数料がかかることが多いので、無料で振り込める回数や条件を確認しておきましょう。
同じ銀行で2つ目の普通口座は作れないことが多い
多くの銀行では、個人が同じ銀行で持てる普通口座を原則1つにしています。すでに使っている銀行で副業用の口座を作りたい場合は、目的別にお金を分けて管理できる機能がないかを確認するか、別の銀行で口座を作ることになります。
個人名義の口座と屋号付き口座、どちらを作る?
副業用の口座には、大きく3つの選択肢があります。
種類
向いている人
開設のしやすさ
個人名義の口座(2つ目の口座)
副業を始めたばかり、規模が小さい
本人確認書類があれば作れる
屋号付きの個人事業主口座
開業届を出し、事業として続けている
事業の実態がわかる書類と審査が必要
法人口座
会社を設立している
登記の書類などが必要で、審査も厳しめ
副業の所得は、帳簿書類の保存がなく規模も小さいうちは、事業所得ではなく雑所得として扱われることが多いです。その段階なら、個人名義の口座で十分です。屋号付きの口座は、開業届を出して事業として本格的に続けるようになってから検討しましょう。
なお、会社員が会社を設立して役員になると、勤務先の就業規則の副業規定に触れる場合があります。公務員は、営利企業の役員を兼ねることが法律で禁止されています。
ネット銀行を選ぶときのチェックポイント
副業用の口座には、ネット銀行がよく使われます。24時間スマホで残高確認や振込ができ、平日の日中に窓口へ行けない会社員でも使いやすいためです。個人事業主向けの口座を用意しているネット銀行もあります。
選ぶときは、次の点を比べてみてください。
チェックポイント
確認すること
振込手数料
他行宛ての手数料と、無料になる回数・条件(残高や取引状況で変わることが多い)
報酬を受け取るときの手数料
使うクラウドソーシングやフリマアプリなどの出金手数料が、振込先の銀行によって変わらないか
ATM手数料
現金を使う場合、使えるATMと無料回数の条件
明細のデータ化・会計ソフト連携
入出金明細をデータで取り出せるか、使いたい会計ソフトと連携できるか
個人事業主向け口座の有無
将来、屋号付きの口座に切り替えたいときに同じ銀行で作れるか
セキュリティ
振込時の追加認証(アプリやワンタイムパスワード)、利用限度額の設定ができるか
2024年以降、日銀の利上げを受けて預金金利を引き上げる銀行が増え、手数料や優遇の条件も各行で見直しが続いています。「手数料無料」とあっても、多くは回数や条件つきです。口座を作る前に、各銀行の公式サイトで最新の手数料表と条件を確認してください。
屋号付き口座の開設に必要な書類と流れ
主な必要書類
必要な書類は銀行によって異なります。一般的には、次のようなものを求められます。
本人確認書類:マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど
開業届の控え:税務署に提出した個人事業の開業届の控え。e-Taxで提出した場合は、受付結果(受信通知)の画面など
確定申告書の控え:すでに申告している場合。2025年1月から、税務署の窓口で申告書の控えに受付日付の印を押す取り扱いが終わっているため、e-Taxの受信通知などで提出したことを示す場合があります
事業の実態がわかる資料:事業のWebサイト、名刺、取引先との契約書、請求書など
開設の流れ
銀行のWebサイトや窓口で申し込む
本人確認書類と事業の資料を提出する(ネット銀行はアップロードやアプリでの撮影が中心)
銀行の審査を受ける
審査に通ったら、キャッシュカードなどを受け取る(簡易書留など本人限定の郵便で届くことが多い)
銀行は、口座が詐欺などの犯罪に悪用されないよう、利用目的や事業の実態を確認しています。審査に時間がかかったり、追加の資料を求められたりすることがあり、審査に落ちても理由は教えてもらえないのが一般的です。その場合は、事業の実態がわかる資料をそろえ直すか、別の銀行で申し込んでみましょう。
また、本人確認のルールは見直しが進んでおり、2027年4月からは、ICチップ付きの本人確認書類(マイナンバーカードなど)を使った確認が中心になる予定です。手続きの方法は、申し込む時点の銀行の案内に従ってください。
口座を作ったら、帳簿づけと確定申告に活かす
副業の入出金は、なるべく副業用の口座にまとめる:経費の支払いも、副業用の口座から引き落とされるカードなどにそろえると、集計がさらに楽になります
生活費に回すときは、まとめて移す:副業の口座から生活費の口座へお金を移すこと自体は問題ありません。回数を減らすと、手数料も記録の手間も減らせます
領収書や請求書も保存する:口座の明細だけでは何に使ったかがわからないことがあるため、領収書などの書類も一緒に保存しておきましょう
確定申告の手順は「副業の確定申告のやり方」を、申告が必要になる基準は「副業の20万円ルールとは?」をご覧ください。
やってはいけないこと
口座を他人に貸す・売る・譲る
自分の口座やキャッシュカードを他人に渡したり売ったりすることは、犯罪収益移転防止法で禁止されている犯罪です。「口座を貸すだけで報酬がもらえる」といった誘いは、詐欺グループが口座を集める手口です。絶対に応じないでください。
家族など他人名義の口座で副業の報酬を受け取る
他人名義の口座で受け取っても、税金の上では実際に稼いだ本人の所得として扱われます。所得を隠すために名義を変えることは、脱税とみなされるおそれがあります。
「口座を分ければ会社にバレない」と考える
口座を分けることと、副業が会社に知られるかどうかは関係ありません。会社に知られるきっかけとして多いのは、住民税です。詳しくは「副業が会社にバレる原因と住民税「普通徴収」の手順」で解説しています。
よくある質問
Q. 副業用の銀行口座は必ず作らなければいけませんか?
A. 法律上の義務はありません。ただし、副業の入出金を1つの口座にまとめておくと、収入と経費の集計がしやすくなり、確定申告の帳簿づけが楽になるため、分けておくのがおすすめです。
Q. 副業用の口座は個人名義でもいいですか?
A. はい。副業を始めたばかりで規模が小さいうちは、個人名義の口座で十分です。屋号付きの口座は、開業届を出して事業として続けるようになってから検討しましょう。
Q. 屋号付きの口座を作るには、開業届が必要ですか?
A. 多くの銀行で、開業届の控えなど、事業をしていることがわかる書類の提出を求められます。必要な書類は銀行によって異なるため、申し込む前に各銀行の案内を確認してください。
Q. 同じ銀行で2つ目の口座を作れますか?
A. 多くの銀行では、個人が同じ銀行で持てる普通口座は原則1つです。目的別にお金を分けて管理できる機能がある銀行もあるので確認するか、別の銀行で副業用の口座を作りましょう。
Q. 副業用の口座はネット銀行がいいですか?
A. 24時間スマホで残高確認や振込ができるため、会社員には使いやすい選択肢です。振込手数料の無料回数の条件、報酬を受け取るときの手数料、会計ソフトとの連携などを比べて選びましょう。手数料や条件は変わることがあるので、公式サイトで最新の内容を確認してください。
Q. 口座を分ければ、副業が会社にバレませんか?
A. 口座を分けることと、会社に知られるかどうかは関係ありません。会社に知られるきっかけとして多いのは住民税です。副業を始める前に、勤務先の就業規則を確認しておきましょう。
Q. 副業用の口座のお金を生活費に使ってもいいですか?
A. 問題ありません。生活費の口座へまとめて移すようにすると、振込手数料も帳簿づけの手間も減らせます。
Q. 屋号付き口座の審査に落ちたらどうすればいいですか?
A. 審査に落ちた理由は、一般に教えてもらえません。事業のWebサイトや取引先との契約書など、事業の実態がわかる資料をそろえ直すか、別の銀行で申し込んでみましょう。
Q. 口座を貸すだけでお金がもらえると誘われました。大丈夫ですか?
A. 応じないでください。口座やキャッシュカードを他人に貸したり売ったりすることは、法律で禁止されている犯罪です。詐欺グループが犯罪に使う口座を集める手口なので、誘いを受けたら警察や銀行に相談してください。
※この記事は、執筆時点の制度や一般的な銀行の取り扱いをもとに解説したものです。手数料、優遇条件、必要書類、審査の基準は銀行ごとに異なり、変更されることがあります。口座を開設する際は、各銀行の公式サイトで最新の情報をご確認ください。税金の扱いは、国税庁のWebサイト、税務署、税理士などの専門家にご確認ください。
まとめ
副業用の銀行口座を分ける義務はありませんが、分けておくと入出金の記録がまとまり、確定申告の帳簿づけが楽になります。規模が小さいうちは個人名義の口座で十分で、屋号付きの口座は開業届を出して事業として続けるようになってから検討しましょう。
ネット銀行を選ぶときは、振込手数料の無料回数の条件や報酬を受け取るときの手数料、会計ソフトとの連携を比べ、最新の条件は公式サイトで確認してください。
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