2021.12.03
会社員が副業で株式投資を始める前に知っておきたいこと|時間がなくても続けやすいやり方・始め方・税金
「本業が忙しくても株式投資はできる?」「何から始めればいいのか、どんなリスクがあるのか知りたい」。副業アカデミーにも、会社員の方からよく寄せられる相談です。
この記事では、会社員が株式投資を始める前に確認しておきたい勤務先のルール、時間が限られていても続けやすい投資のやり方、口座開設から購入までの手順、税金の基本、そして知っておくべきリスクを解説します。
この記事の要点
株式投資は多くの会社で副業として扱われていませんが、扱いは就業規則しだいです。勤務中の取引や、仕事で知った未公表の情報を使った売買(インサイダー取引)は避けてください。
日中に値動きを見られない会社員は、毎日売買するやり方より、長期保有や積立など、こまめな売買が必要ない方法のほうが続けやすいです。
証券口座は「特定口座(源泉徴収あり)」を選ぶと、税金の計算と納付を証券会社が行い、原則として確定申告が不要になります。NISA口座の利益は非課税です。
株式投資には元本割れのリスクがあり、利益は保証されません。生活費とは別の余裕資金で、仕組みを理解してから少額で始めることが大切です。
始める前に確認したいこと:勤務先のルール
株式投資は、自分のお金を運用する資産運用です。労働を提供する副業とは性質が違うため、多くの会社で副業として扱われていません。ただし、どこまでを副業とみなすかは会社が就業規則で決めるため、始める前に次の点を確認してください。
就業規則に、株式の売買や投資についての決まりがないか
自社株や取引先の株の売買に、事前申請や売買できない期間などの社内ルールがないか
金融機関、監査法人、報道機関など、業種として社員の株式売買を制限していないか
また、仕事で知った公表前の重要な情報をもとに株を売買すると、インサイダー取引として法律で罰せられるおそれがあります。勤務時間中の取引や、会社のパソコンを使った取引も、就業規則違反として処分の対象になる可能性があるので避けましょう。
投資と就業規則の関係や、会社に知られる仕組みは「投資は副業になる?就業規則での扱いと、住民税で会社に知られる仕組み」で詳しく解説しています。
会社員が株式投資を続けるための3つの前提
1. 生活費とは別の「余裕資金」で始める
株価は上がることも下がることもあります。生活費や近いうちに使う予定のお金を投資に回すと、値下がりしたときに損を承知で売らなければならなくなります。病気や失業などに備えた生活費の数か月分を預貯金で確保したうえで、しばらく使う予定のないお金で投資をするのが基本です。
2. 本業の時間を削らない方法を選ぶ
国内株式の取引時間は、東京証券取引所の場合、平日の9時〜11時30分と12時30分〜15時30分です。この時間は仕事中という会社員がほとんどでしょう。値動きを見続ける必要がある短期売買は、本業との両立が難しく、勤務中の取引にもつながりやすいので注意が必要です。
3. 損失が出ても慌てないルールを決めておく
「どのくらい下がったら売るか」「どんな理由で買ったか」を、買う前に自分で決めておくと、値動きに振り回されにくくなります。本業の収入で生活が成り立っていることは、慌てて売らずに済むという意味で、会社員の強みでもあります。
時間が限られた会社員でも続けやすい株式投資のやり方
やり方
特徴
かかる手間
投資信託・ETFの積立
1本で多くの銘柄に分散できる。毎月自動で買える
少ない
個別株の長期保有
企業の成長や配当を期待して数年単位で持つ。銘柄選びの知識が必要
中くらい(決算の確認など)
数週間〜数か月の売買(スイングトレード)
値動きの差で利益を狙う。チャートや企業分析の知識が必要
多い
投資信託・ETFの積立
投資信託は、多くの投資家から集めたお金を運用会社がまとめて株式などに投資する商品です。ETFは、そうした投資信託のうち証券取引所に上場していて、株と同じように売買できるものです。たとえば、米国の代表的な500銘柄で構成される「S&P500」のような株価指数に連動するものもあります。
1本で多くの銘柄に分散でき、決まった日に決まった金額を自動で買う設定にしておけば、日中に値動きを見る必要はありません。ただし、指数や運用会社が運用していても、元本は保証されません。保有している間は運用の手数料(信託報酬)がかかるので、同じような内容なら手数料の低いものを比べて選びましょう。
個別株の長期保有
応援したい企業や、成長が期待できると考えた企業の株を、数年単位で持ち続ける方法です。値上がり益のほか、配当金や、企業によっては株主優待を受け取れます。
ただし、どの企業の株が上がるかは誰にもわかりません。1つの銘柄に資金を集中させると、その企業の業績が悪化したときの影響が大きくなるため、複数の銘柄に分けることが大切です。業績や財務の状況を確認する知識も必要です。
数週間〜数か月の売買(スイングトレード)
毎日の売買は難しくても、数週間〜数か月の値動きを狙って売買する方法です。利益を狙える分、損失も大きくなりやすく、チャートの見方や企業の分析など、ある程度の知識と経験が必要です。初心者のうちは、まず積立や長期保有で値動きに慣れてから検討しても遅くありません。
なお、証券会社にお金や株を担保として預けて、その数倍の取引をする「信用取引」では、株価が予想と逆に動くと、預けたお金以上の損失が出ることがあります。「空売り」(先に売ってから買い戻す取引)も信用取引で行います。仕組みを十分に理解するまでは避けたほうが安全です。
積立と複利の考え方
毎月決まった金額で買い続けると、価格が高いときには少なく、安いときには多く買うことになり、購入価格をならす効果があります(ドルコスト平均法)。ただし、これで損失を防げるわけではありません。
また、運用で得た利益をそのまま運用に回し続けると、利益が利益を生む「複利」の効果が期待できます。参考として、毎月3万円を20年間積み立てた場合の計算は次のとおりです。
年率の運用利回り(仮定)
積立元本
20年後の金額(計算上)
3%
720万円
約985万円
5%
720万円
約1,233万円
※この表は、毎年同じ利回りが続くと仮定した計算で、税金や手数料は考慮していません。実際の利回りは毎年変動し、元本を下回ることもあります。将来の運用成果を示したり保証したりするものではありません。ご自身の条件での計算は、金融庁の資産運用シミュレーションで試せます。
株式投資を始めるまでの手順
1. 証券口座を開設する
株式は証券会社を通じて売買するため、まず口座を開設します。売買手数料、取り扱う商品(米国株や投資信託など)、スマホアプリの使いやすさなどを比べて選びましょう。2023年10月以降、条件を満たすと国内株式の売買手数料を無料にするネット証券も増えています。手数料の条件は変わることがあるので、各社の公式サイトで確認してください。
口座の種類は、次のように選びます。
特定口座(源泉徴収あり):証券会社が年間の損益を計算し、税金も差し引いて納めます。原則として確定申告は不要です。初心者にはもっとも手間がかかりません
特定口座(源泉徴収なし):証券会社が年間の損益をまとめた報告書を作りますが、利益が出たら自分で確定申告をします
一般口座:損益の計算も確定申告もすべて自分で行います
NISA口座:上記とは別に開設する口座で、利益や配当が非課税になります。年間の投資上限や生涯の非課税枠があります
NISAの仕組みは「初心者の会社員が知っておきたい投資の基本(NISA・iDeCo)」で解説しています。
2. 口座に入金する
口座の開設が終わったら、投資に使うお金を入金します。銀行からの振込のほか、提携する銀行口座からの即時入金や、毎月の自動引き落としを使える証券会社もあります。入金するのは、余裕資金の範囲にとどめましょう。
3. 株や投資信託を買う
日本株は原則として100株単位で売買するため、株価が3,000円の銘柄なら、1単元で30万円程度が必要です。少額から始めたい場合は、1株単位で買える「単元未満株」のサービスを使う方法もあります。単元未満株でも配当金は持ち株数に応じて受け取れますが、株主優待は100株以上などの条件があることが多いです。
あらかじめ価格を指定して注文を出しておく「指値注文」を使えば、日中に画面を見ていなくても売買できます。
4. 売るときのルールを決めておく
株は買うより売るほうが難しいとよく言われます。「目標の価格に届いたら一部を売る」「買った理由が崩れたら売る」など、自分なりのルールを買う前に決めておくと、感情的な判断を避けやすくなります。
5. 必要なら確定申告をする
特定口座(源泉徴収あり)やNISA口座で取引していれば、原則として確定申告は不要です。源泉徴収なしの特定口座や一般口座で利益が出た場合は、確定申告が必要になることがあります。会社員で給与以外の所得が年20万円以下なら所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は別に必要です。
損失が出た年は、確定申告をすると、ほかの口座の利益と相殺(損益通算)したり、損失を翌年以降3年間繰り越したりできます。詳しくは「副業の20万円ルールとは?」と「副業の確定申告のやり方」をご覧ください。
株式投資のメリット
仕事の時間を使わずに続けられる:積立や指値注文を使えば、通勤時間などに残高を確認する程度でも続けられます
少額から始められる:投資信託の積立や単元未満株なら、数百円〜数千円程度から始められるサービスもあります
配当金や株主優待を受け取れることがある:企業によって、保有中に配当金や株主優待を受け取れます。ただし、業績によっては減ったりなくなったりします
税金の仕組みがわかりやすい:上場株式の利益は、給与とは分けて税率20.315%で課税されます。NISA口座を使えば非課税です
株式投資のデメリット・リスク
元本割れすることがある:景気や社会情勢によって、市場全体が大きく下がることがあります。投資した企業が倒産すれば、株の価値がなくなることもあります
短期売買は時間と知識が必要:値動きを追う売買は、本業との両立が難しく、損失も大きくなりやすいです
値動きの大きさは市場によって違う:日本株には1日に動ける値幅の制限がありますが、米国株には個別銘柄の値幅制限がありません。米国株は為替の影響も受けます
手数料やコストがかかる:売買手数料や投資信託の信託報酬など、利益を減らすコストがあります
「必ず儲かる」という誘いには乗らない
SNSなどで知り合った人から「この銘柄は必ず上がる」「元本保証で高利回り」などと投資を勧められ、お金をだまし取られる被害が増えています。株式投資に「必ず儲かる」ものはありません。勧誘を受けたときは、相手が金融庁に登録された業者かどうかを、金融庁のWebサイトで確認してください。
よくある質問
Q. 会社員でも株式投資はできますか?
A. できます。株式投資は多くの会社で副業として扱われていませんが、扱いは就業規則しだいです。自社株や取引先の株の売買に社内ルールがないかも確認してください。勤務中の取引や、仕事で知った未公表の情報を使った売買は避けましょう。
Q. 株式投資はいくらから始められますか?
A. 日本株は原則100株単位のため、株価が3,000円なら30万円程度が必要です。ただし、1株単位で買える単元未満株や、少額から積み立てられる投資信託を使えば、数百円〜数千円程度から始められるサービスもあります。
Q. 仕事中に値動きを見られなくても大丈夫ですか?
A. 長期保有や投資信託の積立なら、日中に値動きを見る必要はほとんどありません。あらかじめ価格を指定する指値注文を使えば、画面を見ていなくても売買できます。
Q. 証券口座はどの種類を選べばいいですか?
A. 初心者には「特定口座(源泉徴収あり)」が手間がかかりません。証券会社が年間の損益を計算し、税金も差し引いて納めるため、原則として確定申告が不要です。あわせてNISA口座を開設すれば、その口座の利益は非課税になります。
Q. 株式投資で利益が出たら確定申告は必要ですか?
A. 特定口座(源泉徴収あり)やNISA口座での取引なら、原則として不要です。源泉徴収なしの特定口座や一般口座で利益が出た場合は、確定申告が必要になることがあります。会社員で給与以外の所得が年20万円以下なら所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は別に必要です。
Q. 損をしたときに確定申告をするメリットはありますか?
A. あります。確定申告をすると、ほかの証券口座の利益と損失を相殺したり、損失を翌年以降3年間繰り越して、将来の利益と相殺したりできます。
Q. 単元未満株でも配当金や株主優待はもらえますか?
A. 配当金は、単元未満株でも持ち株数に応じて受け取れます。株主優待は、100株以上の保有などを条件にしている企業が多いため、単元未満株では受け取れないことが多いです。
Q. 株式投資でどれくらい儲かりますか?
A. 利益の額は、投資する金額、期間、銘柄、市場の状況によって大きく変わり、損失が出ることもあります。株式投資で利益が保証されることはありません。仕組みとリスクを理解したうえで、余裕資金の範囲で始めてください。
Q. 株式投資をしていることは会社にバレますか?
A. 特定口座(源泉徴収あり)で取引して確定申告をしなければ、利益にかかる住民税は証券会社が差し引いて納めるため、会社に通知される住民税の額には通常反映されません。NISA口座の利益は非課税です。詳しくは「投資は副業になる?」の記事で解説しています。
※この記事は、執筆時点の制度をもとに一般的な内容を解説したものであり、特定の銘柄や金融商品の購入・売買をおすすめするものではありません。株式投資には元本割れなどのリスクがあり、利益は保証されません。投資の判断はご自身の責任で行ってください。税金や制度の詳細は、金融庁・国税庁のWebサイト、税務署、税理士などの専門家にご確認ください。
まとめ
株式投資は多くの会社で副業として扱われていませんが、始める前に就業規則や社内ルールを確認しておきましょう。時間が限られた会社員には、投資信託の積立や個別株の長期保有など、こまめな売買が必要ない方法が続けやすいです。
口座は特定口座(源泉徴収あり)を選ぶと税金の手間が少なく、NISA口座を使えば利益が非課税になります。株式投資には元本割れのリスクがあるため、生活費とは別の余裕資金で、仕組みを理解してから少額で始めることが大切です。
副業アカデミーでは、株式投資の基礎や、銘柄の見方・リスクの考え方を学べるセミナーを開催しています。講師に直接質問しながら学びたい方は、株式投資のセミナーの日程をご覧ください。
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