2018.08.16
契約社員・派遣社員も副業できる?確認すべき就業規則と、労働時間・社会保険・住民税の注意点
「契約社員だけど、副業をしてもいいの?」「派遣社員の場合、副業のルールは派遣先と派遣元のどちらに従えばいい?」。収入を増やしたい、将来に備えたいといった理由で、副業を考えている契約社員・派遣社員の方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、契約社員や派遣社員も、勤務先の就業規則や契約で認められていれば副業ができます。法律で副業が禁止されているわけではなく、会社が副業を制限できるのは、本業に支障が出る場合や情報が漏れるおそれがある場合など、一定の場合に限られます。ただし、契約の更新や、副業先でも雇われて働く場合の労働時間・社会保険・住民税など、正社員とは違った点で確認しておきたいことがあります。
副業は、もう隠れてするものではなくなってきています。国のガイドラインでも、企業に副業を認めているかどうかを公表するよう勧めており、就業規則を確認し、必要なら勤務先に相談してから始めるのが今の基本です。この記事では、契約社員・派遣社員が副業を始める前に確認したいルールと、勤務先への相談のしかた、注意点を解説します。
この記事の要点
契約社員・派遣社員も、就業規則や契約で認められていれば副業ができます。契約社員は勤務先の、派遣社員は雇用主である派遣元(派遣会社)のルールを確認します。
副業は隠すものではなく、相談して始めるものです。許可制や届出制なら手続きをし、定めがはっきりしない場合も担当者に確認してから始めましょう。
副業先でも雇われて働く場合は、本業と副業の労働時間が通算され、条件によっては副業先でも社会保険に加入します。
副業の所得が年20万円を超えると確定申告が必要です。住民税から勤務先に副業が分かることもあるので、先に届け出ておくのが基本です。
契約社員・派遣社員は副業できる?
法律に、会社員の副業を禁止する規定はありません。厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」でも、労働者が勤務時間外をどう使うかは基本的に自由であり、会社が副業を制限できるのは次のような場合に限られるとされています。この考え方は、正社員・契約社員・派遣社員などの雇用形態にかかわらず同じです。
労務の提供に支障がある場合(副業による長時間労働で本業に支障が出るなど)
業務上の秘密が漏れる場合
競業によって会社の利益が害される場合
会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を壊す行為がある場合
とはいえ、実際には就業規則で副業を許可制や届出制にしている会社も多くあります。「法律で禁止されていないから自由」と考えて勝手に始めるのではなく、まず勤務先のルールを確認することが大切です。会社が副業を制限できるケースは副業禁止は違法?会社が副業を制限できる4つのケースで詳しく解説しています。
確認するのは「どこの」ルール?
働き方
確認するもの
相談・届出の相手
契約社員
契約社員向けの就業規則(なければ正社員と共通の規則)、労働契約書(雇用契約書)
勤務先の人事・総務
派遣社員
派遣元(派遣会社)の就業規則、雇用契約書・就業条件明示書
派遣元の担当者
パート・アルバイト
パート向けの就業規則、労働契約書
勤務先の人事・総務
契約社員:契約社員向けの就業規則があるかを確認
会社によっては、正社員とは別に「契約社員就業規則」を定めています。別の規則がない場合は、正社員と同じ規則が適用されることが一般的です。あわせて、入社時に交わした労働契約書に副業についての定めがないかも確認しましょう。就業規則は、会社が従業員にいつでも見られる状態にしておくことが法律で義務づけられているので、見当たらない場合は人事や総務に確認できます。
派遣社員:雇用主である派遣元のルールに従う
派遣社員の雇用主は、実際に働いている派遣先ではなく、派遣元(派遣会社)です。副業のルールは、派遣元の就業規則や雇用契約を確認し、届出が必要なら派遣元に届け出ます。あわせて、派遣先で知った情報を副業に使わないなど、派遣先との約束(秘密保持など)も守る必要があります。
副業は「隠してやるもの」から「相談して始めるもの」へ
以前は「副業は会社に知られないようにするもの」というイメージがありましたが、状況は変わってきています。厚生労働省のガイドラインは2022年の改定で、企業に対し、副業を認めているかどうかや、その条件を公表するよう勧めています。副業を認める会社も増えており、ルールに沿って届け出たうえで取り組むのが、今のスタンダードです。
届け出ておけば、住民税の金額などから副業が分かっても慌てる必要はありませんし、本業の担当者と働き方を調整しやすくなります。契約の更新を考えても、隠して続けるより、先に相談しておくほうが安心です。
勤務先への確認・相談の進め方
就業規則と契約書を読む:副業が自由か、届出制か、許可制か、禁止されている副業の種類は何かを確認します
担当者に相談する:契約社員は人事・総務、派遣社員は派遣元の担当者に、「副業を考えているので、ルールを確認したい」と相談します。定めがはっきりしない場合も、相談しておくと安心です
副業の内容を具体的に伝える:何をするか、週に何時間・どの時間帯か、雇用か業務委託か、本業と競合しないこと、本業で知った情報を使わないことを説明できるようにしておきます
記録を残す:許可や届出は、書面やメールなど記録が残る形でやり取りしておくと、後で確認できます
契約社員・派遣社員ならではの注意点
契約の更新に影響することがある
契約社員や派遣社員は、期間を決めて契約を結び、更新しながら働くのが一般的です。就業規則に反して副業をしていた場合や、副業のせいで遅刻や欠勤が増えるなど本業に支障が出た場合は、懲戒処分だけでなく、契約の更新で不利に扱われるおそれもあります。反対に、ルールに沿って届け出たうえでの副業であれば、こうしたトラブルは起こりにくくなります。手続きをしてから始めることが、自分の身を守ることにつながります。
副業先でも雇われる場合は、労働時間が通算される
アルバイトなど、副業先とも雇用契約を結んで働く場合、本業と副業の労働時間は通算されます。合計が法律で決められた労働時間を超えると、時間外労働として扱われます。勤務先から副業先の労働時間の報告を求められることもあるので、自分でもそれぞれの勤務時間を把握しておきましょう。長時間労働で体調を崩さないことも大切です。
社会保険は、それぞれの勤務先で加入するかが判断される
健康保険や厚生年金に加入するかどうかは、勤務先ごとに、勤務時間や賃金、会社の規模などの条件で判断されます。副業先のアルバイトでも条件を満たすと、副業先で社会保険に加入することがあります。2か所以上で加入の条件を満たした場合は、本人が「所属選択・二以上事業所勤務届」を年金事務所に提出し、両方の給与を合わせて保険料が計算されます。
パートやアルバイトが社会保険に加入する条件は、法改正によって段階的に広がっています。最新の条件は、日本年金機構のWebサイトや勤務先で確認してください。
副業の種類によって、税金と住民税の扱いが変わる
副業でも給与を受け取る場合(アルバイトなど)と、個人で仕事を受けたり物を売ったりする場合(業務委託や物販など)で、税金の扱いが変わります。
確定申告:2か所から給与を受け取っている場合、副業先の給与と、給与以外の所得の合計が年20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。給与以外の副業だけの場合も、所得が年20万円を超えると確定申告が必要です。20万円以下でも、住民税の申告は別に必要です
住民税:副業の所得にかかる住民税は、原則として本業の給与からまとめて差し引かれます(特別徴収)。そのため、住民税の金額から勤務先に副業が分かることがあります。給与以外の副業の所得は、確定申告で「自分で納付(普通徴収)」を選べる場合がありますが、アルバイトなど給与の副業では原則として選べません。副業を届け出ていれば、住民税で分かっても慌てる必要はありません
住民税の仕組みと手続きは副業と住民税の仕組み、確定申告のやり方は副業の確定申告のやり方で解説しています。
なお、収入を申告しないことは、勤務先との関係にかかわらず、税金の申告漏れになります。副業は届け出たうえで、税金の手続きもきちんと行いましょう。
公務員の非常勤職員の場合
地方公共団体で働く会計年度任用職員のうち、パートタイムの職員は、営利企業への従事などの制限(兼業の許可)の対象外とされています。ただし、職務に専念する義務や信用を傷つける行為の禁止などのルールは適用され、勤務先から兼業の報告を求められることもあります。フルタイムの職員は、正規の公務員と同じく許可が必要です。勤務先の担当部署に確認しましょう。
契約社員・派遣社員に合わせやすい副業の選び方
本業のシフトや契約の更新を考えると、副業は次のような点で選ぶと続けやすくなります。
時間の融通がきくか:本業の勤務時間が変わることがあるなら、決まった時間に働くアルバイトより、作業時間を自分で決められる副業のほうが合わせやすい傾向があります
雇用か、それ以外か:アルバイトなど雇用の副業は、労働時間の通算や社会保険・住民税の扱いを考える必要があります。業務委託や物販などは、確定申告を自分で行います
本業と競合しないか:勤務先や派遣先と同じ業種の仕事や、仕事で知った情報を使う副業は避けましょう
初期費用とリスク:失っても生活に影響しない金額から始められるか
たとえば、商品を仕入れて販売する物販は、作業時間を自分で調整しやすい副業の1つです。ただし、仕入れた商品が売れずに損をするリスクがあり、中古品を仕入れて売る場合は古物商許可が必要です。在宅でできるほかの副業は会社員が在宅でできる副業12選で比較しています。本業との両立のしかたは副業と本業を両立するコツも参考にしてください。
よくある質問
Q. 契約社員は副業をしてもいいですか?
A. 勤務先の就業規則や労働契約で認められていれば、副業ができます。法律で副業は禁止されておらず、会社が副業を制限できるのは、本業に支障が出る場合や秘密が漏れる場合など一定の場合に限られます。許可制や届出制なら、手続きをしてから始めましょう。
Q. 派遣社員は、派遣先と派遣元のどちらのルールに従えばいいですか?
A. 雇用主である派遣元(派遣会社)の就業規則や雇用契約に従い、届出が必要なら派遣元に届け出ます。あわせて、派遣先で知った情報を副業に使わないなど、派遣先との秘密保持のルールも守ってください。
Q. 就業規則に副業の定めがない場合はどうすればいいですか?
A. 契約社員向けの就業規則がなければ、正社員と同じ規則が適用されていることが一般的です。労働契約書も確認し、それでも分からない場合は、人事・総務や派遣元の担当者に確認してから始めるのが安心です。
Q. 副業をすると契約が更新されなくなりますか?
A. ルールに反して副業をしていた場合や、副業のせいで本業に支障が出た場合は、懲戒処分や契約の更新に影響するおそれがあります。就業規則に沿って届け出たうえでの副業であれば、こうしたトラブルは起こりにくくなるので、始める前に担当者に相談しておきましょう。
Q. アルバイトを掛け持ちすると、労働時間はどうなりますか?
A. 雇用契約で働く副業では、本業と副業の労働時間が通算されます。合計が法律で決められた労働時間を超えると、時間外労働として扱われます。勤務先に報告を求められることもあるので、それぞれの勤務時間を把握しておきましょう。
Q. 副業先のアルバイトでも社会保険に入りますか?
A. 勤務時間や賃金、会社の規模などの条件を満たすと、副業先でも社会保険に加入することがあります。2か所以上で条件を満たした場合は、「所属選択・二以上事業所勤務届」を年金事務所に提出します。条件は法改正で広がっているため、最新の内容を確認してください。
Q. 契約社員の副業でも確定申告は必要ですか?
A. 副業の所得が年20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。2か所から給与を受け取っている場合は、副業先の給与と給与以外の所得の合計で判断します。20万円以下でも住民税の申告は別に必要です。
Q. 副業をすることは、会社に伝えたほうがいいですか?
A. 許可制や届出制なら、手続きが必要です。定めがはっきりしない場合も、担当者に相談しておくと安心です。副業の住民税は原則として本業の給与から差し引かれるため、伝えていなくても住民税の金額から分かることがあります。副業の内容や時間を具体的に伝え、記録が残る形でやり取りしておきましょう。
Q. 契約社員に向いている副業はありますか?
A. 本業の勤務時間が変わることがあるなら、物販のように作業時間を自分で決めやすい副業が合わせやすい傾向があります。勤務先や派遣先と競合する仕事は避け、失っても生活に影響しない金額から始められるものを選びましょう。
※この記事は、執筆時点の公開情報をもとに一般的な内容を解説したものです。就業規則の内容は会社によって異なります。労働時間・社会保険・税金の詳細は、勤務先、年金事務所、税務署、社会保険労務士・税理士などの専門家にご確認ください。副業の収入は取り組む内容などによって大きく異なり、収入を保証するものではありません。
まとめ
契約社員や派遣社員も、就業規則や契約で認められていれば副業ができます。副業はもう隠れてするものではありません。契約社員は勤務先の、派遣社員は派遣元のルールを確認し、担当者に相談したうえで、堂々と始めましょう。ルールに反した副業は、懲戒処分や契約の更新に影響するおそれがあります。
副業先でも雇われて働く場合は、労働時間の通算や社会保険、住民税の扱いにも注意が必要です。本業のシフトと合わせやすく、本業と競合しない副業を選ぶと、無理なく続けられます。
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